選択的夫婦別姓の陳情が採択!
選択的夫婦別姓の陳情が採択。
蕨市議会から国へ、意見書が正式に送られました。
そして、本日 採択するにあたり、その賛成討論を本会議で、私がしました。内容は以下です。 (長いです)
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陳情第3号・「選択的夫婦別姓の導入を求める意見書を国へ提出することを求める陳情」に対して賛成の立場から討論いたします。
本陳情で求めている「選択的夫婦別姓」は、婚姻の際に、夫婦同姓にしてもよいし、夫婦各自が婚姻前の姓を称する夫婦別姓にしてもよい、という選択制度です。
夫婦同姓・別姓を選択できる制度ですから、別姓を望まない人に別姓を強要する制度ではありません。まずはこの点をはっきりと述べておきたいと思います。
さて、今の民法では、夫婦同姓の原則から、夫婦は婚姻の際に、夫又は妻の姓のどちらかを選ばなければなりません。
そして2008年の厚生労働省の統計では96.2%の女性が夫の姓になっています。妻の姓になっているのはわずか3.8%というのが実態です。
そして、こうした婚姻の状況をめぐり、決して少なくいない人たち、日本においてはその多くが女性ですが、苦しみや悩み、わずらわしさを感じている実態があります。今、政治はここに目を向けるべきです。
人権のひとつとして
「人格権」という考え方があります。昭和63年2月16日の最高裁判決の判例では、
「氏名は、社会的にみれば、個人を他人から識別し、特定する機能を有するものであるが、同時に、その個人からみれば、人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴であって、人格権の一内容を構成するもの、というべきである」
と述べています。
おととい19日の報道では、ニューヨーク在住で、夫が映画作家、妻が映画製作の仕事をしている、日本人の別姓夫婦が国を相手に18日に訴訟を起こしたことが明らかになりました。
提訴後の記者会見で当事者は「私たちの結婚からすれば別姓は自然な選択。それぞれが生まれたときの名前をキープしたい」と訴訟への思いを語りました。
このように、姓は単に「個人の呼称」というだけではなく、名と結合することによって、社会的に自己を認識させるものであり、自己の人格と切り離して考えることができません。
氏名には一人ひとりの思い、生き方、自分史が込められています。
その他にも、本陳情で述べられているように、時間や手間、経済的負担・不利益に加え、「自分を失う」と感じるほどの精神的負担を感じているという人も少なくありません。通称としての旧姓使用では解決できない問題もあります。委員会での陳情者の意見陳述では、通称使用でもいいのではという意見もあるけれど、根本的な解決策にはならないということが述べられています。
表向きは通称を使用していたとしても、重要な書類などは戸籍名で書かなくてはならないし、今回、一緒に陳情を出してくれた人の中にも、通称使用をしていて、大学の先生や映画監督の人がいましたが、その人たちも、結婚して名前が変わることにより、旧姓の時の実績が自分のもので無くなってしまうかもしれないという恐ろしさを感じたということです。実際に通称使用では限界があり、今回の陳情も戸籍名でしか出せないということも、とても寂しいと言われていたことも紹介されていました。
こうした問題をさけるために、事実婚を選択した場合は、さらに多くの不利益があることも、本陳情は訴えています。
選択的夫婦別姓について考える際に、認識すべき3つの客観的事実があります。
①政策の変化、②女性差別撤廃条約、③世論調査で示された国民の意識、です。
まず1点目に、政策の変化です。
2000年12月、政府は、「男女共同参画基本計画」の中で、「選択的夫婦別姓制度の導入」について、
「男女平等の見地から」、
「国民の意識の動向を踏まえつつ、引き続き検討を進める」
としました。
2005年12月の第二次基本計画でも、
「国民意識の動向を把握しつつ、結婚に伴う姓の変更が職業生活等にもたらしている支障を解消するという観点からも」、などとしています。そして、
「選択的夫婦別姓制度について、国民の議論が深まるよう引き続き努める」
と記しています。
男女共同参画社会とは、個人の多様な生き方を認め合う社会ですから、その実現に向けて選択肢を広げる制度の導入が望ましいとの方針です。
2点目に、女性差別撤廃条約です。
同条約16条は姓を選択する「夫及び妻の同一の個人的権利」を挙げています。
国連女性差別撤廃委員会は、2003年7月、2009年8月と2回にわたり、日本政府に対して、夫婦の姓の選択など、民法の中に残る差別的な条項を削除し、立法や行政実務を条約に適合させることを求める旨の改善勧告を出してます。
日本は同条約を批准しているのですから勧告に従い法改正をして条約を固く守る義務があります。
国際社会において、日本が責任ある国家として行動し、国際協力や貢献を通して他国の信頼を得ていくためには、足下の国内の人権問題を解決することが不可欠です。
民法の改正は国内問題であると同時に、日本が国連の人権機関から繰り返し指摘されている主要な人権問題の一つです。民法改正を、実現できるか否かは国際社会に対し、日本の人権問題に対する姿勢を示すバロメーターと言っても過言ではないでしょう。
最後3点目に、世論調査で示された国民の意識動向です。
たとえば、2006年の内閣府の世論調査では、選択的夫婦別姓制度の導入につき、「賛否きっ抗」と世間に広く知らされましたが、この「選択的夫婦別姓に関する内閣府世論調査の比較」表では、20代〜50代では賛成が多数なのです。
そのため、世論の動向を、婚姻の当事者になる世代、子どもの婚姻に直面する可能性の高い世代について見れば、かつての政府答弁とは逆に、法改正は避けられないことだと言えます。
今年に入ってから、国を相手に選択的夫婦別姓を求める訴訟が相次いでいます。
先ほども紹介した 、ソフトウエア会社社長ら4人が1月、東京地裁に、
そして5月に、事実婚夫婦ら7人が東京と広島の各地裁に、
そして今月18日、ニューヨーク在住の日本人夫婦が東京地裁に提訴しています。
今日、家族のありようや価値観が多様化していく中で、結婚や離婚、親子など、
家族の形や意識変化のスピードに法改正は追いついていません。
選択的夫婦別姓の導入、女性の結婚最低年齢を満16歳から満18歳へ引き上げること、女性の再婚禁止期間を6カ月から100日に短縮すること、5年間以上の別居で離婚を認めること、嫡出子と非嫡出子(婚外子)の法定相続分を平等にすること、などを求めた1996年・平成8年民法改正案要綱の答申から20年以上がたちます。この中で、選択的鵜夫婦別姓については、いまだ政府として動きがなく、多くの人たちの期待を裏切っているというのが現状です。
改めて申し上げます。選択的夫婦別姓制度は、夫婦同姓・別姓を自由に選択できる制度です。
誰もが平等で、主体性が持てて、かつ、不自由のない結婚生活を目指すために、一刻も早く法改正の実現を望みます。
以上、
陳情第3号・「選択的夫婦別姓の導入を求める意見書を国へ提出することを求める陳情」に賛成し、討論を終わります。
この後、
賛成多数で採択が決まりました!