安倍政権が目論む地域包括ケアシステム
先週、党の全県地方議員会議があり、その中で「地域包括ケアシステムの現状と自治体の課題」について学んだので報告します。
講演は全日本民主医療機関連合会、事務局次長の林泰則氏。
政府は2025年度を目途に「地域包括ケアシステムの確立」を「国策化」しようとしています。地域包括ケアとは、「要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される体制」と定義されており、概ね中学校区を単位に整備してくとされています。高齢化がいっそう進み一人暮らし・老々世帯、認知症高齢者が増えていく中で、すべての地域に必要な体制といえるでしょう。
しかし政府の本質的な狙いは、医療・介護費用を削減する手段として「安上がり」で(国にとって)効率的な医療・介護の提供体制を作ることです。2006年に入院病床・療養病床を37万床から15万床へ削減、入院死8割から在宅死4割へ。入院から在宅へ、医療から介護へ。病床の改革を「川上」、在宅でのケアを「川下」の改革と表現し、地域包括ケアは費用を抑えるよう設計されています。
その基本的な考え方として「自助・互助・共助・公助」の役割分担です。「自助」は市場サービスを購入することも含め本人と家族の自己責任による対応です。「互助」はボランティア・住民同士の助け合い、「共助」はみんなで保険料を払って支える社会保険制度、「公助」は年金・高齢者福祉・障がい者福祉・保育など児童福祉・生活保護等、公費によるもの。
政府が強調するのはまず「自助」、次に「互助」その次に「共助」の順番で、どうしても立ちゆかない場合に「公助」で、順番を間違えないこと。要介護状態が中重度になっても入院医療はなるべく減らし、それぞれの「住まい」で在宅医療、介護サービスを利用し最後まで過ごす。最初から公的な制度に頼ってはいけないというものです。
2018年度からの第7期介護保険計画(18年度からの20年度の3カ年計画) の策定作業がこれから本格化していくなか、地域の市民が共同して医療・介護制度の改悪を許さない運動を広げるとともに、人権を尊重する制度策定を各地域で提案・政策化等を働きかけていくことが、一層重要になることを再確認しました。